「モンスターウルフ」とは、年々増加する野生動物の被害(獣害)に対し、当社で開発した、オオカミ型LED野生動物撃退装置の商品名です。一見その姿のユニークさから「ふざけてる、子供だまし」と思う方や、専門家の間からも疑念を持たれることもありましたが、地元地域の田んぼや畑を守る獣害対策のため、大学の協力と、長い間各地で検証を重ねて来た装置で「思い付きで作った?」と言うのではありません。
開発元の株式会社太田精器は、米どころ空知で部品加工を行う小さな町工場、2008年「環境・省エネ」がテーマと言われた北海道洞爺湖サミットの年、省エネの先駆けと言われるLED(発光ダイオード)の存在を知ったことが転機となり、その将来性に魅力を感じ、無謀にも独自で、LEDの開発を試みましたが、しかしその1年後、LED業界は、大手企業の参入が相つぎ、資本、技術力に劣る町工場では、全く競争にならない分野になったのです。
ちょうどその頃、地元周辺の農家では、シカなどの農業被害が深刻と漏れ伝わり、それを耳にする度、獣害は北海道の特徴で大きな問題と考えるようになり、何か、ものづくりで、獣害対策が出来ないかと漠然と考えていました。そんなある日、テレビアニメを見ていた子供達が失神やてんかん症状を起こした事件、それはある周波数の「光点滅」が脳神経に刺激を与えたのが原因であることを思い出しました。「嫌な光(=光点滅)」を作るには、LEDは電子部品なので再現が可能、点滅で球(発光素子)も切れない、省電力、長寿命、このLEDの利点こそ、獣害対策に使えるのでは?と発想したのです。
発想から2カ月後、独自で開発していたLED照明(蛍光管型)を7本並べ、新しく光点滅回路を制作、そして遂に強い光の点滅で嫌悪感を起こすLED装置が完成し、早速、この装置であれば、動物(シカ)は簡単に逃げるだろう、と意気揚々近くの野生のエゾシカが出没する畑で実験を試みたのです。すると、映像には、初日はシカの逃避行動が見られるも、2、3日目には作物を食べる姿が映り、5日目には完全に効果が無くなっている様子が伺われました。この結果、LEDの光点滅では、シカには、長期間の効果がないことが判り、シカの学習能力(慣れる能力)の高さに愕然とし、実験は失敗、大きく落胆したのでした。
LED型 撃退装置 「モンスタービーム」 の誕生
後日、知遇を得て、動物の生態に詳しい大学教授のところに赴き、今までの実験の見解を伺うと、野生動物は「知能が高く、直ぐ慣れる」と指摘された上で、「光点滅の威嚇だけでは多分効かないだろう」と断言されてしまう始末でした。しかし、程なく教授は、光点滅の他に「天敵の音(オオカミの声)を入れる」「光が確実に見えるようLEDに着色する」ようにと助言を受け、改めて「動物が慣れないこと」を重点に、数十種類の威嚇音、着色したLEDが強い点滅光を発し、大音響で慣れさせないためランダムに変化する装置を開発しました。この装置で、約2年に渡り、慎重に各地で検証試験を重ねました。その結果、獣害が大幅に減少した状況が各地で確認され、野生動物に対する確実な忌避効果が認められ、2012年LED鳥獣忌避装置「モンスタービーム」として製品化を果たすことができました。
オオカミ型 撃退装置 「モンスターウルフ」 の誕生
以前、大学教授から多くの野生動物の天敵は、「オオカミ」との理論をお聞きしていたので、この天敵をヒントに、外観をオオカミの形にすることで、見た目で既製品のより威嚇効果が大いに見込めるのでは?と考え、「モンスタービーム」のグレードアップ製品となる新しい装置「モンスターウルフ」の開発に取組んだのです。
「モンスターウルフ」の特徴は、
1)オオカミマスクと毛皮で、オオカミの外観
2)赤外線センサーとタイマーで起動
3)目や足元、後ろのLEDが点滅
4)オオカミ・犬・人間の声など60種類以上の威嚇音(最大約90㏈・約1キロ以上響く音)
5)首が左右に駆動(生きてる様に見せる)
少し強調されたオオカミの顔は恐ろしいのですが、何故かユーモラス、既存の「モンスタービーム」の実績から効果は十分発揮するものと推察しました。オオカミの姿を、野生動物が見れば 「人里には、天敵(得体の知れない物)がいることで、防衛本能が働き、近づかない(追い払う)」との考えのもと、有りそうで無かった装置になりました。
その後、2016年に新「モンスターウルフ」装置が完成、大学のシカ飼育場の実証実験では、装置(=ウルフ)の姿を見ただけで、近寄らないシカ達が見受けられました。今まで無かったシカの新しい忌避反応に、大学の先生からも、一定の忌避効果にお墨付きを頂きました。また、野生動物のシカ、クマを中心に、多くの現場で検証をした結果、ウルフを見て逃げ惑う野生動物の映像も捉えられたり、予想通り殆どの場所で獣害を減らす効果を発揮したのです。また、千葉県では、北海道に生息しないイノシシの被害を完璧に抑え込んだ事例もあり、テレビにも取り上げられ、全国から問い合わせが来るようなりました。
しかし、未だに忌避効果に疑いや、完璧な被害抑制実績を求められることも多く、対象が野生動物である限り、「1匹も出なくなる、完璧で被害がゼロになると保証している訳ありません」と、前置きした上で、他の対策品と比較し「費用対効果」を検討してください、と提案をしております。事実、設置した殆どのユーザーは、忌避効果に大変満足されており、忌避効果に対するクレームもほぼゼロと言う状態が長年続いており、忌避効果の継続性が証明されています。
また、特許申請を既に行い、技術的にも実績的にも利用者の信用が向上したと考えています。
今後、IoTや遠隔機能、そして自動走行する「ウルフロボット」等スマート農業に対応すべく、大学や研究機関、企業と共同で開発を進めており、究極の撃退装置を目指しています。モンスターウルフの進化は止まりません。